台湾からお越しのゲストさんは、
癌で舌を切除しているとのことで流動食と筆談での対応が必要でした。
60代の男性で、バックパッカー。
見た目は元気なおじさんで、日本のおじさんと同じ風貌です。
ミキサーを持参しているので、こちらの手間はありません。
ただ共有スペースで、皆がびっくりするかもということで、
予め伝えてくださったのです。
筆談はスマホを使って。
普段からのコミュニケーション方法が、
異国の地でも同じなわけで、スムーズです。
今までもハンディーキャップのある旅人さんが、
何人かお越しになりました。
【〇〇だから△△するけど大丈夫なので】という意思表示を、
してくれています。
元看護師としては、少し聞けば全容は把握できます。
大変な修羅場を超え、異国の地に旅に来る、
カミングアウトできる、、、敬意を払います。
一目判然の障害も気の毒ですが、
見た目で判らないこのゲストさんの場合も気の毒です。
なぜ流動食をたべているのか、なぜ喋らないのか、
と奇異に見えるでしょう。
しかし朝からカップラーメンと唐揚げやスナック菓子を食しながら、
スマホしかみていないゲストもお見受けします、奇異です。
自由や若さを謳歌するのは、意外と難しい。
この仕事を始めてその思いを強くしています。
なんでもいい、って訳ないよ。
人間の体は精密で、部位部品すべて理にかなったものです。
日頃、「舌」の存在なんて当たり前すぎて考えもしません。
無いor一部無いとなると、生活は激変するわけです。
誰しも長い人生、一生のうちに生活習慣は変容します。
加齢、病気、信条だったり、政変ってのもありますね。
【多様化】という言葉をよく耳にするようになった昨今ですが、
他者の多様性を理解していくには、
【旅】【ゲストハウス】は学びの場であると思います。
違いを楽しむ、度量や許容が試されている場所。
再認識した日でした。
『琵琶湖』