旅をして多くのドミトリー宿に泊まってきた中で、
ちょっと珍しい同室者だったなあと思える人がいる。
「私は、この宿の個室に泊まっている親子の同行者です。
子供さんが重度の身体障害者ですが、お母さんがどうしても旅行をさせたいと言って
車で連れて来ました。私は福祉系の大学生。実習で親子と知り合いました。」
と彼女は淡々と教えてくれました。
よっぽど、そのお母さんは学生さんである彼女を気に入ったのでしょう。
よっぽど、お母さんは決意が堅かったのでしょう。
お母さんだけの自己満足と言われようが、いいんだ。という。
実際、寝たきりの大きな子供を二人(母親と同行の大学生)
で抱えての車と個室への往復は凄みがあった。
相部屋に泊まった彼女から、この親子についての話や自分自身の将来の話なども
たくさん聞かせてもらったと思う。
が、この童顔だけど大人である大学生に私は軽い嫉妬の感情があった。
ここまで、このお母さんに信頼されている。
その信頼に応えてあげている、この子。
旅の途中、雷に打たれた瞬間であった。
おそらく、令和の現在の方が、
医療・福祉の制度やサービスは格段に発達したはずだ。
肝心の当事者の満足感は満たされているのだろうか。
信頼関係ってモノが、やっぱり最重要かな。