私の就学時期、ある地方都市の本当にありふれた片隅に家族と住んでいた頃。
近くに個人商店が数軒あった。
一つは、記憶に残る一番最初のスーパーマーケット。といっても酒屋が食料品も
売るようになった感じの小さいお店で母に連れられよく行った。
二つ目は、お小遣いを握りしめ通った駄菓子屋さん。ここの匂いはいまでも
覚えている。
三つ目は、化粧品店×サンリオのお店。私もキティやキキララやパティ&ジミーに
熱中だった時があった。
四つ目は、その向かいの洋品店。ディスプレイの洋服や化粧品会社のポスターの
モデルの美しさに目が釘付けだった。
順番に足を踏み入れ、卒業していった。
あんなに通ったのに、成長につれ全く立ち寄らなくなる。
最近回想して気がついたが、田舎でもこれだけの店があったのは、
近くに巨大な紡績工場があったからに違いない。
遠方から寄宿していた工員さん達にとって、これらのお店のおじさんおばさんは、
自分たちの親も同然の人達だったはずだ。
子供の目には、店番をしているおじさんおばさんとしか映っていなかったが
精神的支柱という実は凄い役割を持っていたのだろう。
こういうことって、
わかるようになるの。年をとると。