ちょっと遅くなってしまいましたが、
今年の春休み中、無我を利用された高校生の一人旅が目立って増えていたので、
是非書き留めておきたいと思っていました。
中でも印象に残っている男子ゲストさんのエピソードです。
彼は思春期さながらの憮然とした面持ち、口数も少なめなので、
スタッフ側は「ちょっと心配」な位置づけ。
中には高校生といえど、社会人顔負けくらいのやりとりができる「心配不要」の人もいます。
その彼は第1日目は外国人と二人だけ、第2日目は満室で六人、
という相部屋ならではのバリエーションに対応できるか私は内心心配でした。
ドヤドヤと賑やかにゲストさんたちと過ごしていても、彼を気にかけていました。
修学旅行も個室の時代、大家族でも一部屋に全員が寝るわけではないでしょうし。
あるちょっとした気になることが起き、
オーナーが「こういうときは『ありがとう』というべきだ」と彼に諭したそうです。
翌日、全員のチェックアウトが済み、
宿泊棟に設置してある旅ノートを見ると彼の書き込みがありました。
ーーーありがとう、といえる大人になりたい。と。
百人一首の蟬丸の歌まで添えて。
知らないことを知りにいく人生の旅がスタートした宣言のように思えました。
そして、はしだのりひことシューベルツの『風』をYouTubeで見て涙する私。
♪ 人は誰もただひとり旅に出て
人は誰もふるさとを振り返る
ちょっぴり淋しくてふりかえっても
そこにはただ風が吹いているだけ
48年前の若者の歌う姿が、現代かと錯覚するほどなのです。
私が日々、旅と向き合った仕事をしているからなのでしょうかね、、、。