ゲストハウス開業の直前まで、
病院で看護師をしていましたが、
あるとき、
「戦争体験者の話を直に聞けるのは、私のいるような職場は最適。
高齢の患者さんと接するわけで。しかも、急がなくては!」
と突然気付きました。(気付いた自分ってエライ!)
戦後70年を超え、体験者は今90歳前後の方々なので、
寿命であれ、病気であれ、この世を去っていきます。
その前にできるだけ、お話をこの耳で聞こう、
いや、聞かなければならない!と早速動きました。使命感のような。
勤務時間内、ベッドサイドや清潔援助をしながらとか。
そのうち、特に印象的だったお話があります。
肺の疾患で寝たきりになっておられる当時90歳くらいの男性は、
若いとき兵隊で南方の国(国名は忘れました、すみません)に行ったよ、
って話はじめてくれました。
私は、戦争に行っても戦死せずにちゃんと日本に帰ってこれて、
こうやって長生きできたのは強いんですね、
って言いました。
すると、「違うんだよ」と
衝撃的なことを教えてくれました。
まず、「戦死」については、
戦地で死ぬから戦死と言うが、ほとんどは病死なんだよ、と。
敵とやりあってかっこよく死んだ兵隊など一人も見なかった、と。
衛生環境の悪い中、それは食べるな飲むなと注意されても、
自分勝手にしてしまう人がいて、お腹をこわし、そのまま病死。
次に、「生還できた」のは、
執着が強くなかったからだ、と。
どうにかして自分だけ日本に戻ろうと、
上官に必死にお世辞をつかっている兵隊がいたそうですが、
叶わずに気がおかしくなり、結局病死。
自分は、どうにかなるさと、半分諦めて生きていたのがよかったのだと、、、
そう、昨日の出来事のように話してくださいました。
映画のようにカッコ良くはないのですね。
そして、この方はこの話を聞いた数日後に亡くなられました。
この方も含めて何人かの男性・女性に戦争のお話を伺いましたが、
封印して生きてきたのだろうと想像がつきました。
でも話し出すと饒舌、
カラー映像で伝わってくるようでした。
あれから数年が経ち、おそらくその何人かの方々も、
ほぼこの世を去ったことでしょう。
残された時間は益々少なくなっています。
現在私はゲストハウスで時折、
若い人に私が聞き取ったこの話をすることがあります。
私自身、何か問題を抱えたとき、
この方のお話を大いに参考にして、
「執着」と「諦め」をふるいにかけるようになりました。
世の中は理不尽なことだらけでも、
旅に出た先のゲストハウスで、
生きるヒントになる話があり、ディスカッションがあり、
またまた旅に出たくなる、、、、、
そうあって欲しいなと思います。