滋賀県 彦根ゲストハウス無我 ママさんのブログ

漂泊の旅・第二の故郷、としての【宿り】の場所を作っていきます。宿泊される方の思いをしっかり見つめて、模索する日常のあれこれを記します。

ママさん

ママさん。
 
最近呼ばれた中で一番気に入っている呼び名。
 
くすぐられる。
 
奥さんってのが多いから〔全くくすぐられない)。
 
私をママさんと呼んでくれるのは、アメリカからのリピーターさん。
 
この地で起業するため訪日し、ウチを利用してくださっている。
 
我々が起業した数年前は、地方都市で起業するのはナンセンス。(随分言われたなー)
 
ましてやアメリカ人が日本の伝統的な家屋を買ったり、
 
ロマンを求めて日本旅行をするなんて考えられなかった。
 
暗黙に、アメリカ人は自分探しの浪費旅はしないと認識していた。
 
が、この一年で様相が変わった。
 
来ないと言われていたアメリカ人が、ウチにも来るようになった。
 
ビジネスはもちろん、アニメオタク、ネット社会に疲れた人、、、、、。
 
今年、訪日外国人旅行客は3000万人を超えるといわれている。
 
ウチの微々たる数は、何にも反映されないのだが、
 
アメリカ人の動向の変化は強く実感するところだ。
 
失礼ながら、その野望は超ビックではなく、
 
ゲストハウスを作りたいとか、アニメの聖地で就職したいとか、
 
日本人と同じ慎ましやかな感覚なのだ。
 
つまりは競争相手がダイレクトにアメリカ人ということに。
 
そう、
 
この一年私が個人的にヒシヒシと感じたことである。
 
大きな時代の移り変わりが用意されている、来年。
 
国内外の既存の【枠】というものにも変化が起こるのだろう。
 
ますます、目立ってくることが【志】なんだろうか。
 
 
 
ゲストハウスに来る日本人諸君にも喚起したい。
 
同じ宿に泊まっている外国人は、自分の競争相手であったりビジネスパートナーになる人物
 
かもしれない。
 
そんなつもりで話を展開してみては?
 
 
 
 
とりあえず、私を「ママさん」と呼ぶアメリカからの客人と真剣に友好を深めたい。
 
じゃあ私が個人で出来ることはなんだろう、
 
最近はそんな風にやるべきことを決めるようになっていて実は毎日が面白い。
 
 
 
 

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歳をとること

最近、オーナーは老眼が進んだと1日に10回は言うようになりました。
 
なんとかルーペでも買えば、としか言いようがありません。
 
 
 
何かの記事で、「会いたい人はこの世にいない人」との見出しをみて,
 
歳をとるということはこういうことなんだと切なくなりました。
 
今、生きて目の前にいる人ってなんなのでしょうね。
 
私はじゃあ誰かにとってなんなのか。
 
 
 
親御さんの介護に通う中継地として、
 
ウチを何度もリピートしてくださっている方があります。
 
少しずつ親御さんの状況が深刻になっていくのが分かり、
 
介護疲れが増すこと必至です。
 
せめてウチで気分転換できればと、今まで以上に気になっていました。
 
微力なのですが。
 
 
 
 
こんな時、思い浮かんだのが昔お世話になったあるユースホステルの今は亡きT氏。
 
アドバイスがほしいわけでなく、
 
成長したねなんて褒めてもらおうとするわけでなく、
 
ただ会って話したいだけ。
 
叶わないことに、ため息をつくと、
 
「こんにちわー」
 
男性の来客が。
 
近くのカフェのオーナーさん。
 
まるでT氏の代わりに来てくれたかのような鮮やかなタイミング。
 
重いことも軽いことも、入れ替わり立ち替わり、
 
忙しい毎日です。
 

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野洲市は先進国

f:id:norimurata:20190322204015j:imageある新聞の、滋賀県野洲市の市民生活相談課長の生水(しょうず)裕美氏の記事を拝見し、思い浮かんだ一人の女性がいます。4年程前に、当館にお泊りいただいた女子大生のゲストさんで、彼女は生水氏の講演を聴くために東京からお越しでした。
 
不勉強な私は当時、生水氏のことも、野洲市が生活困窮者支援において「先進国」だということも彼女の口から聞くまで、全く知りませんでした。
 
例えば、ホームレスの人の就職の面接にこぎつけた。しかし、着ていくスーツが無い。じゃあ貸し出そう。そこまでやってあげる仕組みがある、など。
 
彼女は、生水氏の下で働きたいともはっきり言っていました。
実際、彼女が現在どうしているのかわかりませんが、この人になら市の担当窓口にいてくれるといいなあと思わせる人で、優しさと影を合わせ持っていました。野洲市にいないとしても、きっとどこかで生活困窮者支援に携わっているのだろうと思っています。
 
付け加えれば、時事に的確な行政が執り行われている町が有能な人を引き寄せる魅力がある町だと痛感します。
 
「滋賀ってどういうところですか?」と県外からお越しのゲストさんに訊ねられることが、しばしばあります。状況によっては、この野洲市のことや、彼女のこともお話ししていますが、話しながら、街やその土地の「魅力」って、こういうことが本筋だよね!と思っています。「こういう話題が知りたかったのです、ありがとう」なんてゲストさんにおっしゃっていただくことができたら、私の立場として喜びです。
 
この世の深淵はすぐ隣りにあります。感度を高めて、精進精進力こぶ
 

 

風情

この三連休も台風の影響にみまわれました。
 
それでも、ほぼみなさん予定通りにチェックインされホッとしました。
 
リピーターさんも含めて、東京や大阪からお越しの方が多かったですね。
 
彦根の方には、「なんて静かなの!」「虫の声がスゴイ!」なんて感激?されました。
 
そんなに都会は賑やかなのですね。
 
静寂を楽しんでいるから話しかけないでくれ、と外人客にも言われたこともありました。
 
夜、水鳥が飛びながら鳴く声がもの悲しくてイイんですよ、
 
なんてちょっと自慢しました。
 
あ、三時間毎の鐘の音もイイですね。
 
急に風情がなくなりますが、
 
【ドボン便所】に反応した男子大学生さん、興味津々でした。
 
見たかったんですって。
 
当館でシャワーを済ませてしまったので残念でした。
 
また是非チャレンジしに来て欲しいなあ。
 
(近くの銭湯のトイレがそれだ、という会話がなされていた)
 
今夜、
 
私としては、ゲストさん達から【つげ義春好き】とか、
 
死語である【なるへそ】が聞けたりだとか、もちろん【ドボン便所】も良かったのですが、
 
時々手帳にメモをしていた男子大学生の書き残していた文字が、
 
【なるへそ】であって欲しいと勝手に願っています。
 
※なるへそ=なるほど
 

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近況報告(台風被害から一ヵ月)

(多分束の間の)秋晴れの日があったおかげで、
 
ようやく近況を綴る気が起きました。
 
台風21号の影響で築100年以上の母屋が使用不可能となり、
 
別棟の新館のみの営業から一ヶ月になります。
 
直後は、予約いただいていた方々へ事情説明のメールなどに奔走。
 
同時に、修復箇所の応急処置に追われる毎日。
 
ですが、被害が多発しており専門業者は手が回らず、
 
当初は電話もなかなか繋がりませんでした。
 
台風の翌日に発生した北海道の地震で、
 
我々の焦りに追い打ちとなりました。
 
とにかく応急処置だけでも、、と焦るだけの数日間が過ぎました。
 
ゲストハウスの営業は、若干のキャンセルはありましたが、
 
予定通りお越しいただくことができました。
 
「古民家に入れなくて残念ですが、スタッフさんに被害がなくて何よりですよ」とか
 
「関西がこんなにひどい被害だと思わずに来ました。ビックリです。」などと、
 
声をお聞きするたびに、力を振り絞って営業を続けた価値を感じました。
 
二回目にお越しのゲストさんには、
 
「一回目は古民家に圧倒されて気づいてなかったのですが、
 
新館の建築様式のデザイン性や機能性の良さの魅力をじっくり感じています。」と
 
言っていただきました。
 
この言葉は、今後の当館の修復や再生や新生にあたって、
 
ヒントになる言葉として胸の中にあります。
 
街の風景が所々変わり(壊れた屋根や倒木など)、
 
道行く人々の挨拶が災害の話題が中心になって、
 
日常生活の中に非日常の不安を感じながらの日々です。
 
もっと酷い被害の中、耐えて生活されている方々、
 
本当に辛いことだとあらためてお察し致します。
 
特にこの一か月、お越しいただいたゲストさんとは
 
必然的に【災害を生き抜いていく】話題が多くなりました。
 
逆に、迷いが吹っ切れた方もいらっしゃるかもしれませんね。
 
プランの修正や変更を繰り返し、
 
人として与えられた仕事と命を全うしなければ、と思うところです。

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2018年 鳥人間コンテストを終えて

2018年の鳥人間コンテストは、
 
残念なことに途中から中止となりました。
 
毎年7月最終土日に開催されています。
 
諸事情(物理的理由、大学生のテスト期間への配慮など)で、
 
順延は設けられていません。
 
一年かけて研究・準備してきても、
 
悪天候で成果を試すこともできないのが今年でした。
 
ゲストハウス無我にとってもこの二日間は、
 
盆と正月が一度に来たような特別な楽しい時間なのです。
 
毎年リピートしてくださる現役部員をサポートするOB・OGさん達、
 
フアン(海外からも)の方、でゲストのうちほぼ鳥人間関係者が占めていました。
 
ゲストハウス開業当時は、OB・OGの来彦がナゾでした。
 
学生時代を懐かしむためか、同窓会気分か、と思っていましたが、
 
それにしては人数が多いし、朝5時にはコンテスト会場へ向かうストイックぶり。
 
伺ってみると、機体の組立ての作業員であり、段取りなどのアドバイス
 
現役部員の精神的支柱に必要不可欠な存在だったのです。
 
社会人になって貴重な自分の休日に、
 
この献身【一機の人力飛行機を飛ばすのために】ですよ!
 
一発勝負ってのも魔力は絶大なのだと思いますが。
 
 
 
日本の終戦後、飛行機=軍事の象徴としてタブー視されていた時代があったそうです。
 
しかし高度成長期、グローバル社会を迎える中、
 
日本の航空技術の衰退を危惧した関係者が発起発案したのが、
 
この鳥人間コンテストだったとお聞きし感動しました。
 
技術の向上だけではなく、
 
他人同士が支え合う精神や武士魂のようなものも、
 
引き継がれているように思います。
 
当館に滞在中、出るゴミが少なかったことや、
 
ご自分のゴミを持ち帰って行かれる方もいらっしゃったので、
 
鳥人間の精神性の高さを垣間見ることができました。
 
これからも無事に存続していってほしいと願っています。
 

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無我夜話 12

西日本豪雨災害の被災地の一つ、
 
岡山県民の青年が先日宿泊してくださいました。
 
現在は関東に住んでいて、ご実家が岡山県の北部ということでした。
 
人的に無事ではあったのですが、田んぼが泥流で台無しになったようです。
 
彼曰くは、【岡山県は災害のない土地だ】と長年思って暮らしてきた
 
県民の神話が崩壊したことが何よりのショックであると言うのです。
 
この時点での県民の方々の共通の心情のようです。
 
災害のない土地は無いのですね。
 
最近、スタッフ同士でも【想定外】という言葉は使いたくないねと
 
話し合っています。
 
今までの想定や常識を簡単に超えてくる自然の脅威や災害に対して、
 
せめて自分の心構えを修正していくことは必須だなと思います。
 
被災された方の生の声も、伝聞でも、
 
なるべく時間を割いて伺いますので、心を開いて話して欲しいと思います。
 
あと感じているのは、
 
被災した県の人が遊びに旅行していると負い目があるのか、
 
あまり触れないようにしているのを見受けます。
 
正直少しは思いますが、どう見られるかは人間性💦ですから。
 
報道では分からないところなどを、
 
被災した月日がまだ浅い今、お聞きできればと思います。
 
土地柄や行政のあり方など一様ではなく、
 
いろいろな差(災害時の対応や復旧復興のスピードなど)を、
 
生み出していく現実があると推察できます。
 
我々の力(吸収や発信や拡散)をもっと高めて、
 
ゲストさんからの貴重なお話を生かしていかなければなりません。
 
とにもかくにも、
 
復旧復興を妨げるこれ以上の災いが起こらないことを願うばかりです。

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