滋賀県 彦根ゲストハウス無我 ママさんのブログ

漂泊の旅・第二の故郷、としての【宿り】の場所を作っていきます。宿泊される方の思いをしっかり見つめて、模索する日常のあれこれを記します。

「摂待」と「お下がり」

先日、用事があり彦根市内の済福寺にお邪魔いたしました。

住職様は不在でしたが、そのお母様と高校生のお嬢様に、

思いもかけず丁寧な摂待を受け、感動に浸りました。

折しも地蔵盆の時節、話題もそれです。

お地蔵さんが落書きをされたり、あろうことか盗まれた町もある。とか。

ま、本当にバチ当たりな。など、住職のお母様と会話して。

帰るときに、お地蔵さんの「お下がり」ですから、

とお菓子もいただきました。

檀家でもない初対面の者にも別け隔てなく摂待する。

接客の原点ですね。

敢えて「摂待」という字を使ったのは、おもてなしを受けながら、

謡曲の『摂待』を思い出していたからです(謡曲好きなので)。

日本の文化って、庶民の隅々まで美意識や生活習慣として、

浸透しているのが凄いと思います。勝者や権力者のものでないところが。

済福寺の皆様には、お忙しい中対応していただきありがとうございました。

この町に住んで良かったと、再認識しました。

 

山岳事故について

ちょっといつもと違う話題です。

ですが、いつも心底から離れない話。

決着がついていないのですが、

書いておこうと思いました。

昨年春、信州のある山で従姉妹を亡くしました。

花の写真を撮るとき滑落、

救助されましたが、即死だったようです。

突然の訃報、すでに荼毘にふしたとの報せ。

あー疲れていたんだ、きっと。

電話を聞きながら私はそう思っていました。

主婦業に加え、親の介護をして、

好きな山登りでストレスを解消していたのでしょう。

また中高年の山岳事故があったと、

心無いネットの書き込みを見てしまい、

せめて親御さんの目や耳に入らないようにと願いました。

しかし、私もこのときまではネット民と同じで、

中高年の登山には冷やかな気持ちでした。

でも、変わりました。

理解してあげたい。

山に介護疲れを慰めてもらいたい気持ちを。

70代でも90代の親の介護をしている日本です。

どんなに年老いても、まだ年上が存在する。

報われない、救われない、介護する側。

どうすればいいんでしょうね。

亡くなった従姉妹は、

私が社会人になってから長く姉のような存在で、

これからも相談にのってほしい人だったんです。

山に「返せ」と言いたい。

私に時間が出来たら、

従姉妹の御主人と友人(遭難時同行していた)に会い、

話しを聞きたいと願っています。

無我夜話①

夏休みのピークが過ぎて、

ゲストさんの数が少なくなってきました。

その代わり⁉︎

濃くなってきました。

毎夜、

人生相談です。

不登校、夫婦別居、移住、転職、

介護職、職場の人間関係、住宅ローン、夢が無い、

などなど。

重いものを背負って旅に出ていらっしゃる方々。

口に出してください。

撮った写真を見せるように。

心の整理ができます。

思わぬ発想が生まれて、問題解決の糸口が見つかりますよ。

私も旅人時代そうでした。

普通がいかに尊く、素直さがどれほど大切か、を思い知らされる旅でした。

ゲストさんが、我々に打ち明けてくださることに敬意をもって、

時間の許す限りお付き合いいたします。

なんの変哲もないゲストハウスですが、

それだけは頑張ります。

なんか抹香臭い仙人みたいですが、

極めて俗っぽいスタッフのでご安心ください⁉︎

元看護師カゼを吹かせて②

ゲストハウス開業の直前まで、

病院で看護師をしていましたが、

あるとき、

「戦争体験者の話を直に聞けるのは、私のいるような職場は最適。

    高齢の患者さんと接するわけで。しかも、急がなくては!」

と突然気付きました。(気付いた自分ってエライ!)

戦後70年を超え、体験者は今90歳前後の方々なので、

寿命であれ、病気であれ、この世を去っていきます。

その前にできるだけ、お話をこの耳で聞こう、

いや、聞かなければならない!と早速動きました。使命感のような。



勤務時間内、ベッドサイドや清潔援助をしながらとか。

そのうち、特に印象的だったお話があります。

肺の疾患で寝たきりになっておられる当時90歳くらいの男性は、

若いとき兵隊で南方の国(国名は忘れました、すみません)に行ったよ、

って話はじめてくれました。

私は、戦争に行っても戦死せずにちゃんと日本に帰ってこれて、

こうやって長生きできたのは強いんですね、

って言いました。

すると、「違うんだよ」と

衝撃的なことを教えてくれました。

まず、「戦死」については、

戦地で死ぬから戦死と言うが、ほとんどは病死なんだよ、と。

敵とやりあってかっこよく死んだ兵隊など一人も見なかった、と。

衛生環境の悪い中、それは食べるな飲むなと注意されても、

自分勝手にしてしまう人がいて、お腹をこわし、そのまま病死。

次に、「生還できた」のは、

執着が強くなかったからだ、と。

どうにかして自分だけ日本に戻ろうと、

上官に必死にお世辞をつかっている兵隊がいたそうですが、

叶わずに気がおかしくなり、結局病死。

自分は、どうにかなるさと、半分諦めて生きていたのがよかったのだと、、、

そう、昨日の出来事のように話してくださいました。

映画のようにカッコ良くはないのですね。

そして、この方はこの話を聞いた数日後に亡くなられました。

この方も含めて何人かの男性・女性に戦争のお話を伺いましたが、

封印して生きてきたのだろうと想像がつきました。

でも話し出すと饒舌、

カラー映像で伝わってくるようでした。

あれから数年が経ち、おそらくその何人かの方々も、

ほぼこの世を去ったことでしょう。

残された時間は益々少なくなっています。


現在私はゲストハウスで時折、

若い人に私が聞き取ったこの話をすることがあります。



私自身、何か問題を抱えたとき、

この方のお話を大いに参考にして、

「執着」と「諦め」をふるいにかけるようになりました。



世の中は理不尽なことだらけでも、

旅に出た先のゲストハウスで、

生きるヒントになる話があり、ディスカッションがあり、

またまた旅に出たくなる、、、、、

そうあって欲しいなと思います。

オープン4年を迎えます!




おかげさまで、8月15日でゲストハウス無我をオープンして4年が経過します。

一言でこの4年は、、、、

長かった!!

20年位過ぎた感じです。

いろいろな方々との出会いがあって、

どこを切り取ってもドラマなのですが、

今回はゲストハウスとなった、

古民家の売主様に思いを馳せてみようと思います。

滋賀県彦根市、ここ「芹橋」という地は江戸時代に彦根城足軽屋敷があった町。

この家は、大正時代になって呉服を商っていたお屋敷でした。

空き家バンクを通じ購入後、ゲストハウス開業にむけて準備、、、、、

というか、ゴミの片付け、来る日も来る日も、ゴミ、ゴミ、ゴミ、、、、、、

このお屋敷の最後の御当主は、90歳を超えた御婦人だったのですが、

我々にはゴミでも、その御当主には先祖代々の大切な宝物だったのでしょう。

いろいろなものが遺されていましたが、

縁もゆかりもない我々の手で処分されるとは想像もつかなかったでしょう。

近所の方々にも、このお屋敷の方のお話をよく聞かされました。

先祖代々のお屋敷を受け継いでいくということは、

並大抵ではないと理解できました。

現代のドライな家族関係を理想と思ってラクに生きてきた私には、

信じられないことでもあります。

時々ですが、縁者の方がゲストハウスになったこのお屋敷に、

いらっしゃることがあります。

おそらく近隣、遠方にも多くの縁者の方がお見えだと思いますが、

この築102年になるお家で商いを始めて4年が経ちましたこと、

ブログでお知らせいたします。

少しでも長く続けられるよう努めたいと思いますので、

見守ってくだされば幸いです。

これからも、宜しくお願い致します!

怪談ナイト

丑の刻まいり、流刑の島、トンネル、錫杖の音、金縛り、

晒し首、商売が長く続かない場所、ホテルの「デル」部屋、

霊と対話する旅、コンタクトレンズ、強い思い込み、恐妻、

ミルクを哺乳瓶でもらおうと並ぶ男の霊たち、ホルマリン、

お化け屋敷、シャッターが下りない、梁、宙を見つめる犬、

呪詛、百鬼夜行、ホラー映画、おふだが貼ってある部屋、

墓地のカップル、霊は電子機器に反応しやすい、自殺の名所、

脳の活動、宗教、病室の不思議な話、、、、など。



これらは、、、、

あの日の夜、参加者が持ち寄った話のキーワードです。

トリガーになっているんですよ。

怪談で出てきた言葉って。

「死生観」や「社会のあり方」や「深層心理」などの、

大きなテーマにつながったり、

「家族」や「縛り」や「日本人らしさ」のような

身近な人間関係に集約されるようです。




私はこのイベントの終わった夜、

眠れなかったのです。

かわいくないことに、心霊とか怖いとかではなく、

爽やかな興奮をしていたからです。

その興奮はその夜から毎日続いています。

トークイベントだったのに、

大作映画をみたような残像に酔いしれている感じです。

変態かなー。

第一回目、参加者8名、適当に休憩もとりながら、

程良い語り合いの三時間だったと思います。

否定的な意見もなく、受容して楽しもうという姿勢を感じ、

皆さん大人でした。

次回からはさらに一歩踏み込んだ語り合いができるような気がします。

また開催しますのでお楽しみに。

スマホは使わない

 




今日、これぞ旅人!バックパッカー

とスカッとした気持ちになりました。

スマホは使わない」

とニッコリする外国人ゲストさん。

目的地までの道順と所要時間を、

「アバウトでいいから」

と我々に口頭で説明させ、

「わかった、行ってみるよ」

と全く不安の無い顔でお出かけします。

このパターンは欧米の人には多く、

「パーフェクト」

と目的を果たし帰宿するのです。

いえいえそれどころか、

新たな興味深いところを見つけて、

さらにエキサイトすることも。

商店街のお店の中って、

特有の『匂い』があったり。

火の用心の拍子木の音。

猫しか通れない用水路。

急に吹いてくる琵琶湖からの風。

軽自動車が狭い道を走っている、かわいいぞ。

などなど。

我々には日常が、彼らには極上のsightseeingなのです。

五感で感じる旅をしているのです。=スマホをお休みするのです。

日本国内のゲストハウスを利用される日本人の皆さんも、

そういった訪日外国人のステキな旅のスタイルに気づいておられるでしょう。

一部のマナー違反などがクローズアップされているようですが、

マイナス面は置いておいて、

勉強になるところを見つけて吸収しましょう!

素直になれば、

もっと旅が、人生が楽しくなるはずです。









                                訪日外国人を興奮させたご近所の金物屋さん↓

 

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